2016年9月29日木曜日

栄養価コンテスト2017参加者募集のお知らせ!




オーガニック・フェスタ2017開催決定!

日時:2017年2月25日(土)~26日(日)
場所:アスティとくしま(徳島県徳島市山城町東浜傍示1番地1)

第5回目のテーマは
「日本発!世界をかえる機能性
 そのおいしさが未来をつくる」

なんで徳島?東京じゃないの?よく言われます。
地方からでないと発信できない情報もあるのです!

なぜ野菜を食べているのでしょう? 
それは一言でいえば「美と健康のため」ではないでしょうか?

しかし、わたしたちが食べている野菜はわたしたちの体のためにほんとうに役立っているのでしょうか?

4回の栄養価コンテストを通じてわかったこと。有機農産物だからといって、必ずしも栄養価が高いわけではない。残念ながら、それは本当のことでした。しかし、有機栽培だからこそ、栄養価が高く、おいしい野菜がつくれるということもだんだんわかってきました。

まぐれではなく、確実に、栄養価の高い野菜をつくり続けている技術力の確かな生産農家さんがいるということもわかりました。

さて、5回目となる有機農業の祭典。誰がいちばん栄養価の高い野菜をつくることができるのかを明らかにし。これまでに集められた、栄養価の高い野菜つくりの栽培技術データの蓄積も活用し、栄養価の高い野菜をつくれる栽培技術とは、いったいどのようなものなのか?

今年は2月25日土曜日に開催される「有機農業技術者会議」を充実し、栄養価の高い野菜や果樹、お米の栽培技術の一端を解明し、多くの方が「人の美と健康を支える野菜」づくりに、取り組みやすくなれるように、何らかのお手伝いができたらと実行委員会一同、せつに思っています。

栄養価コンテスト参加者募集のお知らせ。

申込用紙のダウンロードはこちらから、ドロップボックスを使用しています。

(1)参加可能期間:
①秋季:2016年10月5日(水)~2016年11月15日(火)まで
②冬季:2016年12月15日(木)~2016年1月31日(火)まで

(2)参加可能作物:
米・野菜・果樹〈有機・特別・慣行の栽培区分は問いません。〉

(3)参加費用
1検体あたり10,800円
※検査機関への農産物の送料は参加者様でご負担ください。
検体数に応じた金額を以下の検査機関東京デリカフーズの口座へ振り込んでください。
三菱東京UFJ銀行 千住中央支店 普通 0016540
トウキョウデリカフーズカブシキガイシャエフダブリュシー
(東京デリカフーズ株式会社FWC)
※お振込みは検体の発送後、2週間以内にお願いします。

(4)検体の送り先:
〒121-0073 東京都足立区六町4-12-12
東京デリカフーズ(株)FSセンター 分析担当:武井宛
TEL:03-3858-4831 FAX:03-5242-7108

(5)検査項目:
①硝酸イオン
②糖度
③ビタミンC
④抗酸化力
⑤食味

(6)参加方法:
①申込用紙とサンプル情報記入用紙に必要事項を記入し、以下の2ヶ所にFAXまたはメールにてお送りください。これでエントリー完了です。
●東京デリカフーズ:03-5242-7108・FW-bnseki@t-delica.com
●とくしま有機農業サポートセンター:0885-37-2038・hideya.ujiwaki51@shizenha.co.jp

②東京デリカフーズに冷蔵宅急便で、直接お送りください。(送料は参加者様でご負担願います。)

③米・野菜・果樹の量は1検体あたり500g以上必要です。

④検体といっしょに、記入済のサンプル情報記入用紙をお送りください。

⑤送付の際、送られる箱に「オーガニックフェスタ参加」と記載してください。

⑥東京デリカフーズの指定口座に検査代金を振り込んでください。(検体送付から2週間以内にお願いします。)

(7)結果発表:
個々の検査結果については東京デリカフーズさんよりメールまたはFAXで送付されてきます。
参加された農産物のすべての検査結果について、オーガニックフェスタ開催時に冊子として、コンテスト参加者全員に配布します。※なお匿名を希望の方はあらかじめ事務局へご連絡ください。

(8)最後に、栄養価コンテスト開催の最大の目的
栄養価コンテストの目的は、「農業者間の相互の技術交流を促進すること」にあります。よって参加された方のすべてのデータを記載した冊子をつくり、コンテスト参加者に配布しています。

「栄養価コンテストの目的と意義」についてはこちら

栄養価コンテスト2016の受賞者とその成績

栄養価コンテスト2015の受賞者とその成績








2016年9月22日木曜日

栄養価コンテストの目的と意義





「野菜を食べる理由」それはなんだろうか?一言でいえば、「美と健康のため」ではないだろうか?
野菜には、私たちの体の健康を保つための栄養と、体の美しさを保つための栄養がたくさん含まれている。①ビタミン類・ポリフェノールやカロチノイドなどの抗酸化物質は、細胞の老化を防止する効果がある。②「トマトが赤くなると、医者が青くなる」のことわざの意味するところは、栄養価の高いトマトを食べると、トマトに含まれているリコピンなどが体に作用して、風邪の予防につながるからだろう。③また、野菜からとれる食物センイが腸内細菌を活性化し、血液やリンパの流れをよくし、免疫力を高めるということもわかってきている。

わたしたちは現在ほど、野菜の栄養について、くわしく調べられていなかった時代から、野菜の栄養に注目して、積極的に、おいしくいただいてきた。ところが今、野菜に異変が起きている。それは野菜を食べる理由ともいえる野菜の栄養価が昔よりも、ずいぶん減ってしまっているのである。
1960年頃の野菜の栄養価と、現在2010年頃の栄養価を比べてみると、現在の野菜は昔の野菜に比べたらビタミンやミネラルなどの栄養価が半分くらいになってしまっている。

原因について、さまざまなことが言われている。①測定の仕方が、今と昔とでは違うとか。②旬がなくなり、旬でないとき、つまりその作物にとって適期でない時期に栽培されているから栄養価が上らないとか。③品種改良によって、現在の品種が病気に強いが、栄養価は低いとか。さまざまな原因が考えられる。

栄養価が低くなった理由として、一番大きな理由は、④化学肥料の普及で、堆肥を使わなくなったこと。または、堆肥の質が悪くなったことにあるのではないかと考えられる。


有機栽培のはじまりは、アルバート・ハワードのオーガニック・ファーミング(有機物を用いた農業)が源となっている。堆肥を使わないと、土壌は固くなり、水はけや水持ちが悪くなり、根の張りも悪くなり、病害虫にも会いやすくなる。微量要素の欠乏も起こしやすい。結果、収量と品質が下がっていくことになる。



堆肥を積極的に使う有機栽培でつくると、野菜の栄養価は昔のように高いものになるはず。しかし、ただ単純に堆肥を使えばよいというものでもないらしい。

有機農産物だからといって、ただ、それだけでは、すべての有機農産物が「人の美と健康を支える力をもっている」とはいえない。有機農産物と化学肥料を普通に使って育てられた慣行栽培の農産物の栄養価や健康効果を調べる研究は、世界各国で行われているが、あまり有機農産物は優れているという結果は出ていない。

有名なところでは2009年7月のイギリスの食品基準庁の報告がある。イギリスの食品基準庁は、「一般に、有機食品のほうが慣行の農畜産物よりも栄養的に優れていて、健康に良いといわれている」ので、有機農産物の栄養価や健康効果について科学的な裏付けを得ようと考え、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の栄養公衆衛生研究チームに研究を委託したが、その結果は「有機農産物と慣行栽培の農産物で、栄養価や健康効果に大きな差はない」というもであった。詳細については「西尾道徳の環境保全型農業レポート」のHPにある。

しかし、「有機農産物の栄養価はたいしたことがない」という、多くの研究結果は、地に足のついてない机上の空論ではないだろうか?

なぜなら、わたしたち農業者は、ほんとうにおいしい野菜のことを知っている。

そして、人の美と健康を支えることができる野菜作りに挑戦できるなら、やってやろうじゃないかという、ちょっとした気概に満ちている。

栄養価コンテストの目的のひとつは、栄養価の高い野菜の作り方とはどのような栽培方法なのか?それを明らかにすること。たくさんのデータを集めれば、集めるほど、作り方の正解の的は小さくなる。どのようなプロセスを経ることで「栄養価の高い野菜」をつくるだすことができるのか?それが見えてくる。
栄養価コンテストを行うことで、自分の野菜の栄養価のレベルを知ることができる。そして、栄養価の高い野菜をつくる生産農家が誰なのかがわかる。

栄養価の高い野菜をつくりたいと思っても、それを自分ひとりで悩みながら、研究研鑽を積んでいくというやり方ではともうもなく時間がかかってしまう。ひとりで悩むより、できる農家さん、もっている農家さんに、栄養価の高い野菜の作り方を直接的に教えてもらう方が、上達も早く、達成も早い。また、栄養価の高い野菜をつくる生産農家が集まって、技術について話し合うことで技術の発展するスピードはかなり速くなるだろう。

実際に、回数を重ねることで、栄養価の高い野菜の栽培技術、土づくり技術、堆肥製造技術というもののレベルが上がってきている。

栄養価コンテストは、「人の美と健康を支えることができる野菜をつくる技術」を確立するための扉。参加するか、参加しないかはあなた次第。




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2016年8月31日水曜日

オーガニック・フェスタ2016のようす、其の2





愛媛のミカンの達人、大谷さん。毎回、栄養価コンテストの柑橘部門で最優秀賞を獲っています。2位を大きく引き離しての独走です。おいしいものしか作りたくない。多収穫の限界にチャレンジしたい。とおっしゃっていました。



お客さんを呼び込むために、昨年2015年に栄養価コンテストのキャベツ部門で最優秀賞を取られた、徳島の情熱カンパニーのキャベツを1000個、無料配布しました。会場内が、キャベツを小脇に抱えた方でいっぱいになったので、ちょっと面白かったです。

たまたま食べた鳴門金時。おいしかったです。


ビュッフェコーナーにてサラダバイキング。

講演を終えて、壇上から降りてこられた小祝先生。舞台の脇で、ミニ講習会です。

日本有機農業普及協会徳島支部の支部長三栖谷さんと東京デリカフーズの栄養価を調べてくださっている武井さんです。被り物は青梗菜なのでしょうか?

会場内で販売されたランチボックス。下段には油林鶏(ユーリンチー)風の甘酢めの味付けの鶏から揚げ。甘みがある野菜がおいしかったです。

徳島のマスコットキャラクターすだち君です。舞台裏でも、スタッフにさえ気を抜かない、徹底した仕事っぷりです。



徳島の一番南、海陽町のふるるんくんです。


JA東とくしまさんのブースです。営農指導さんが自ら有機栽培でお米をつくり、さらに食味が95点という驚愕の結果を上げています。他県のJAさんから講師の依頼があるとか、農業全体が大きく有機栽培に変わっていく予感があります。

JA東とくしまさんのブースです。きっちり栄養価表示でPRしています。

苗屋さんの参加もありました。


2016年8月29日月曜日

オーガニックフェスタ2016の栄養価コンテスト受賞者紹介



参加者の内訳は、徳島73、兵庫54、茨城19、愛媛14、和歌山11、熊本10、香川・島根6、岡山・三重・大阪・東京5、岐阜、鳥取3、京都・山形・鹿児島・長野2、愛知・広島・高知・千葉・福井・北海道1
渡辺先生いわく、「硝酸は栄養ではない」こともないらしい。

まずは、このレーザーチャートの見方の説明する必要があるでしょう。緑色がその野菜の平均値。赤色が検体の値。この緑の平均値は検査機関である東京デリカさんの元へ集められた野菜のデータを元にしています。よって、良い野菜が集まれば、集まるほど平均値は自然と高くなることになります。

傾向として、硝酸イオンが多い野菜は、糖度もビタミンCも抗酸化力も低くなる傾向があるようです。

逆に、硝酸イオンが少なくなると、糖度もビタミンCも抗酸化力も高くなる傾向があるようです。

窒素は植物にとっては細胞をつくるために必要不可欠な栄養成分。
硝酸は、その窒素の中でも、酸化された窒素で、化学肥料の成分。

野菜栽培に化学肥料を使わなければ、野菜内の硝酸イオンの値は下がると考えらえていましたが、実際にはそうでもないようです。化学肥料をまったく使用しない有機栽培においても、栽培方法によっては、硝酸イオンが多くなってしまうことがあり、結果として栄養価が低くなることもあるようです。また逆に、硝酸イオンをぐっと低く抑える栽培技術をもっている生産農家さんでは、糖度・ビタミンC・抗酸化力をぐっと高めた野菜を安定的につくることもできるようになってきています。

硝酸イオンを抑えることができる栽培技術を知っているかいなか?また、知っていても、実際に栄養価を高めるという結果に結びつけることができているかどうか?

そこがこのコンテストの勝敗を左右しているようです。

人参部門・ホウレン草部門・トマト部門・大根部門・白菜部門・水菜部門・イチゴ部門・柑橘部門・豆類部門・カブ部門・小松菜部門・ブロッコリーカリフラワー部門・葉菜部門・果菜部門・根菜部門・加工部門の16部門で最優秀賞、そして特質すべき成績の出品について特別賞を授与しました。

毎回、激戦のニンジン。参加36点中。上位6点をノミネートします。

レーザーチャートの形に注目してください。どの形が一番、栄養価が高い野菜でしょうか?
愛媛の海野さんは2014年度の最優秀賞者。徳島の井上さんは有機栽培のベテラン農家さん。大阪の大島さんは小松島有機農業サポートセンター出身。2014年にニンジン部門特別賞・2015年はネギ部門で最優秀賞を受賞しています。

最優秀賞は愛媛の出口さん。参加36点中で一番高い抗酸化力10.7を記録しました。

もうひとつ毎年、激戦のホウレン草。参加19中。10点をノミネートします。


京都のかみむら農園の上村さんのチャートの形はなかなかのものです。

今年の徳島勢は、みんな硝酸イオンを低く抑えてきています。小松島有機農業サポートセンターを卒業したばかりの徳島の瀧山さん、一作目とは思えない品質です。徳島の有機栽培のベテラン遠藤さんにも負けていません。自然農法の若葉農園の横田さんも、毎年、安定した栄養価です。


とても難しい審査となりましたが、参加19点中、唯一、硝酸イオンがゼロということは快挙。やはりすごいということで、最優秀賞は徳島の青山さんとなりました。今回、硝酸イオンが100以下だった方はわずかに2名。糖度では徳島のベテラン遠藤さんの12.3、兵庫の吉岡さん12.0に次いで3位でした。
これも激戦となりました。トマト。参加15点中6点をノミネートします。

ミニトマトは大玉トマトに比べ、栄養価が高くなる傾向があります。ミニトマトの1番は三重のあずんガーデンファームの加藤さん。糖度11.7・抗酸化力42.5・ビタミンCは30.2。なぜこの方に賞を出さなかったのか?それは肥後歩みの会の松村さんのミニトマトが抗酸化力57.0を記録し、大阪の大島さんも、サンマルツァーノリゼルバというミニトマトで抗酸化力47.1を記録。ミニトマトの抗酸化力は接戦です。

悩みに悩んだ末、大玉トマトの岐阜の中家さんを最優秀賞としました。


岐阜の中家さんは、技術力があり、栽培もとても丁寧、しかし、少々やりすぎるところがあり、昨年はやりすぎてしまったようで、昨年2015年の最優秀賞は徳島の井口さんでした。今年は、やりすぎないように注意しての受賞となりました。
大根部門。これも毎年、審査が難航する野菜。9点参加中、5点をノミネートしました。

糖度の一番は5.4の自然農法のベテランの和歌山の橋本さん。硝酸イオンが少ないのは大阪の大島さんで174.8。ビタミンCの一番は兵庫のパブリックキッチンさんが17.1。

大根部門において抗酸化力で唯一40を超えたのは徳島の福野さんでした。ビタミンCはパブリックキッチンさんに次いで2番目の高さ。
白菜部門は8点参加、うち3点をノミネートします。

これはもうこの方でしょう。

兵庫の山田さん。一昨年2014年度の白菜部門の最優秀賞者。昨年もノミネートされましたが抗酸化力は一番でしたが、硝酸イオンを抑えることができず、昨年は兵庫の濱野さんが受賞されました。今年は、きっちり硝酸イオンを抑えて、糖度を上げてきています。
水菜は硝酸を低く抑えることが非常に難しい野菜です。甘みのある水菜をつくるのには、それなりの栽培技術が必要になってきます。自然まかせでは、水っぽいもの、旨味のないものになってしまいがちになります。11点参加中、ノミネートは残念ながら2点。兵庫の吉岡さんが硝酸イオン1300ppmで、糖度4.8、兵庫の串光さんが硝酸イオン2600ppmで糖度4.0、それ以外の方は、6000ppmを超えておりました。


赤い水菜になったのはたまたまです。熊本の飯星さんと兵庫の池上さん。


最優秀賞は兵庫の池上さん。糖度6.9はかなり高い値です。
イチゴは11点参加でノミネートは3点。

硝酸イオンが低く、糖度が高い、この3点に絞った上で、イチゴは抗酸化力の高い野菜。


茨城県の菅谷さんは、11点中、唯一抗酸化力が300台の大台に乗りました。糖度が一番高かったのは徳島の木下さんで12.1。糖度についても菅谷さんが2位で、1位に肉薄していました。

8点参加のうち2点がノミネート。

ミカン処の愛媛勢の一騎打ちです。どちらの方も、もう他者に技術を教えることができるほどに、熟練したレベルになっています。おいしいミカンの復活のカギを握る重要な技術です。ミカン県愛媛の未来を担うお二人と思います。さて、どちらでしょう。

ミカンは品種によって糖度が大きく異なります。大谷さんの栽培する品種「甘平」は、元来、糖度が高い品種です。しかし、丹下さんの栽培する品種「石地」も糖度13を超える高糖度品種なので、品種の違いは抜きにして、土俵は同じことにします。栄養価コンテストは、検査結果の数字だけで勝負する。ガチンコ勝負です。抗酸化力68.4という高栄養価を出した大谷さんの勝ちとなりました。
5点参加のうち、2点がノミネート。

こちらは丹波の黒豆の一騎打ちです。みやがきふぁぁーむの宮垣さんと村上さん。アメリカではすでに活性酸素吸収能力(=抗酸化力)を具体的に数値で示すORAC値を表示した食品が販売されています。それによると黒豆はバナナの8倍くらいの抗酸化力がある作物として注目されているそうです。黒豆の抗酸化力はホウレン草よりもブルベーリーよりも高いといいます。黒豆は抗酸化力野菜の旗頭となっていくことが予想される作物。その黒豆の中で一番、抗酸化力の高いものを栽培したら、その人がキングオブ抗酸化力といえるでしょう。


どとらも早獲りの枝豆として参加してきていますので、今回は硝酸をゼロに抑えた村上さんの勝ちとしました。宮垣さんが硝酸イオンをもっと抑える技術を導入すれば、おそらく宮垣さんがキングオブ抗酸化力となることでしょう。将来への期待を込めて、今回は村上さんを最優秀賞とします。
日本有機農業普及協会の代表小祝先生が提唱する高栄養野菜をつくる栽培技術=BLOFを学ぶ農業者が多数参加しているカブ部門です。しかしながら、糖度6を超える方はおらず、糖度が一番高いのは、徳島の自然農法のベテランの横田さん5.9。硝酸イオンが一番少ないのは、徳島の阿波農産の濱田さんで、24.5。抗酸化力が最も高いのは長野のBLOFERSの新人農家さんの田中さんで25.2でした。

兵庫の岩元さんは、昨年の自分との戦いとなりました。昨年の赤カブは、糖度6.7→7.7とかなりUP、抗酸化力41.1→58.1とこれもUP、ビタミンC26.6→26.2とほぼ一緒、硝酸イオンも24.7→22.2とほぼ同じ。昨年は赤カブの特殊性からカブ部門の優秀賞でした。今年は最優秀賞です。連覇できるのは、「安定した栽培技術力の高さ」を意味していると推測します。
いったい、この小松菜に何が起こったというのでしょうか?小松菜なのにホウレン草並みの栄養価。値が間違っているのではないかと、検査機関の東京デリカに2回も確認しました。糖度の2位は7.2の兵庫の吉岡さん、抗酸化力の2位は148.4の兵庫の串光さん、ビタミンCの2位は兵庫の串光さんで72.7、硝酸イオンの2位は兵庫の吉岡さんで305.3。

2位に値として2倍近い大差をつけて、圧倒的な1位です。いったいこの小松菜に何が起こったというのでしょうか?小松菜という野菜の根本が変わってしまうようなことが起きてしまいました。兵庫のパブリックキッチンの神川さん。今後、目の離せない注目の農家さんです。
ブロッコリーは6点参加、カリフラワーは3点の参加がありました。しかし、昨年2015年の最優秀賞者の吾妻旬菜さんの記録。糖度9.3、抗酸化力86.0、ビタミンC128.0、硝酸イオンゼロを超えるものが、本年度はありませんでした。

カリフラワーには、MATS(メチルアリルトリスルフィド)という強い抗酸化作用を持つカリフラワー特有の成分があり、脳卒中や心臓病の原因となる動脈硬化や血栓ができるのを予防する働きがある。また、コレステロールが体内に吸収されるのを防ぐフィトステロールも含んでいて、カリフラワーの辛み成分であるアリルイソチオシアネートなども同様の働きをする。徳島県が生産量日本一のこの野菜。今後、抗酸化力野菜として、注目されるのではないでしょうか?

その注目のカリフラワーの最優秀賞は、徳島の生産農家さんになりました。上勝町のテンネンアマルの阿部さん。本業は草木染師と聞いております。小松島の有機農業サポートセンターの公開講座に参加し、その後、土佐自然塾で学び、副業の農業で、ホウレン草・カブに続き3度目の最優秀賞をカリフラワーでとりました。自然の理を深く理解し、無理なく適切に働きかけたら、自然とよいものができるということを実践されています。
今回は、さまざまな種類の野菜が出品されました。葉菜類部門として括ってしまうと、異種格闘技戦のようになってしまいますが、①検査機関である東京デリカさんの持っている平均値データとの比較し、優秀な値のもの。また、②硝酸イオンを少なく抑え、栄養価を高くすることができているか、③検査機関東京デリカは、すべての野菜について実際に食べてみて、おいしかたのかどうかを5段階で数値化する官能試験をおこなっています。その官能試験の値を参考に審査し、4点をノミネートしました。

兵庫の池上さんの春菊の糖度6.0、抗酸化力237.5。兵庫の串光さんの春菊、糖度8.6、抗酸化力132.1。兵庫の串光さんの野沢菜の一種、姫路若菜は硝酸イオンがゼロ。糖度6.9、抗酸化力120.3。


最優秀賞は和歌山の橋本さん。チンゲン菜で、糖度6.5。そして抗酸化力は100を超えて155.9というのは驚異的です。

トマトを除く果菜類部門。ピーマン2点、パプリカ1点、オクラ1点、ナス1点、キュウリ2点、スイートコーン1点の参加がありました。

赤い野菜は抗酸化力が強い傾向がありますが、ピーマンをトマトのように赤く熟して甘くなるまで、じっくり栽培するという方法は面白いと思います。若くして収穫する青ピーマンより完熟した赤ピーマンの方が抗酸化力は高い。しかし、その値を見て驚きです。抗酸化力が300を超えるというのは驚異的です。ピーマンは果実自体に葉緑体があり、果実自体が光合成をして糖をつくっています。これは光合成能力を高める栽培技術を導入しているためのものか?すごく気になります。

ジャガイモ4点、レンコン3点、里芋2点、サツマイモ2点、山芋2点、ビーツ2点、生姜1点、ゴボウ1点の参加がありました。


これもどのような栽培方法をとったものなのか?とても気になります。なぜビーツの抗酸化力が400を超えていくのか?栄養価コンテストに毎年、話題を提供してくれている徳島の阿波農産の濱田さん。きっちり硝酸イオンを抑えて、抗酸化力を高める栽培技術を実践して、結果を出している生産農家さんです。今回のオーガニック・フェスタがバレンタイン・デーに開催されるということで、ベジタブル・スイーツをつくって配りたいというフェスタ実行委員会の要望に応えて栽培してくれたものが、このビーツです。確かに「高い抗酸化力の野菜」をお願いしましたが、まさか452という数値で答えてくれるとは驚きです。

リーフレタス3点・サニーレタス1点・サンチェ1点の5点が参加。

水耕栽培の技術で、これほどの栄養価の野菜が作れるようになってきたことは驚きです。何らかの技術革新があったものと推測されます。場合によっては露地栽培のリーフレタスよりも、糖度が高いということもありうるのではないでしょうか?また、水耕栽培なのに、硝酸イオンを500以下に抑えていることも驚きです。「土でつくる農業が、水耕栽培に栄養価で負けることはない。」とずっと思ってきましたが、これは考えを改める必要がありそうです。たいへん良い刺激になりました。
米部門は今回の2016より新設されました。多くの方のご参加、ありがとうございます。現行の検査方法では抗酸化力と糖度は測れますが、お米にビタミンCや硝酸イオンを求めても、もともと含有量が少ないため、検出できませんでした。今年の結果を踏まえて、今後、改善していきたいと考えています。

今回、最も糖度が低かった方の値が26.1。抗酸化力でもっとも低かった方の値は23.6であったので、野菜や果樹ほど劇的に値が大きく変わらないものの、数字的に優劣を求めることは可能と考えられます。次に、お米にとって抗酸化力が高いことの優位性は何か?どのような栽培をすれば抗酸化力が高まるのか?抗酸化力の高さと実際のおいしさとの関係などを分析していきたいと考えています。

第1回の最優秀者は、抗酸化力が一番高かった愛媛の溝田さんとなりました。
今回の栄養価コンテストにおいて、特別にお願いをして、農産物の加工品を出品していただきました。



日本有機農業普及協会では、どうすれば日本に有機農業が普及することができるのか?を日夜考えております。

世界で10番目の人口1億2千万人が暮らす日本は、食べる人の数が非常に多い国です。この利点を活かして、農業者は、ただただおいしいもの。栄養価の高いもの。人の健康を支えることができるしっかりした食べ物を真摯につくれば、自然と日本の農業は、それをつくれる有機農業、有機栽培になっていくのではないかと考えています。

しかし、おいしさや栄養価の高さは、季節に影響されます。夏のものは夏においしく、夏に栄養価も高い。冬のものは冬においしく、冬に栄養価も高い。旬のものにはかないません。そこで旬の時にしっかりつくり、それを長期保存ができる加工品にすることが、自然=旬を大切にする有機農業には必要不可欠なことと考えています。

有機とは、オーガニック=炭素を含んだ有機物というだけの意味ではなく、「機会(とき)有り」と読めます。その時、その時の自然のめぐみを豊かに取り出す農業ですから、旬のめぐみをしっかり封じ込めて保存し、使いたいときに使えるようにする農産物加工の技術を応援したいと考えています。旬を利用して、おいしいものをおいしい季節にたくさんつくり、おいしく食べれる状態で保存する。それができれば有機農業はますます発展するはずです。