2019年5月24日金曜日
2019年5月13日月曜日
オーガニックエコフェスタ2019栄養価コンテスト受賞者紹介
一般社団法人
日本有機農業普及協会
Japan
Organic farming
Association
一般社団法人日本有機農業普及協会主催の「栄養価コンテスト」の結果発表は、オーガニックの聖地とよばれている小松島市ミリカホールにて2019年2月23日(土)正午12時より行われました。
参加者数は270名、参加検体数は583点、品目数は190品目となりました。多くの方のご参加をいただき、ありがとうございました。
まずは、このレーザーチャートの見方の説明する必要があるでしょう。緑色がその野菜の平均値。赤色が検体の値。この緑の平均値は検査機関である株式会社メディカル青果物研究所(デリカグループ)さんの元へ集められた野菜のデータを元にしています。よって、良い野菜が集まれば、集まるほど平均値は自然と高くなることになります。
検査項目は、①糖度、②抗酸化力、③ビタミンC、④硝酸イオン、⑤食味の5つ項目です。硝酸イオンは味としてはえぐみや苦みとなります。抗酸化力は、酸素呼吸を行う生物にとっては、避けてはとおれない活性酸素を除去してくれる成分です。呼吸をすることによって、または、さまざまなストレスを受けることによって、細胞内に発生する活性酸素は、わたしたちの体の細胞を酸化し、老化していってしまいます。活性酸素で遺伝子が傷ついた場合はガンの原因にもなります。抗酸化物質は、その老化の原因である活性酸素を除去できる成分です。
わたしたちが野菜を食べる理由、それは「わたしたちの心身の健康のためと」はわかっていまはいますが、では、野菜を食べると具体的に体はどう健康になるなっていくのか?について答えることができる人は少ないと思います。野菜に含まれるビタミンやミネラルなどが、私たちの体の中で毎日発生し細胞を老化させている活性酸素を除去し、細胞を健全な状態に保ってくれている。「野菜を食べないと老化する。野菜を食べると若返る。」というと言い過ぎかもしれませんが、逆に実際に実感されている方も多いのではないでしょうか?
栄養価コンテストでは、DPPH法にて抗酸化力を調べてします。この方法は、人工的につくった活性酸素に、野菜をしぼった汁をかけて、人工の活性酸素が除去される時間を調べて、抗酸化力を計測しています。
栄養価コンテストでわかってきたこと。それは、傾向として、硝酸イオンが多い野菜は、糖度もビタミンCも抗酸化力も低くなる傾向があるようです。
逆に、硝酸イオンが少なくなると、糖度もビタミンCも抗酸化力も高くなる傾向があるようです。
窒素は植物にとっては細胞をつくるために必要不可欠な栄養成分ですが、空気中の窒素ガスは利用できません。土の中から根によって窒素を吸収するしかないのです。窒素にもいろいろ種類があり、硝酸は、その窒素の中でも、酸化された窒素で、化学肥料の成分でもあります。
野菜栽培に化学肥料を使わなければ、野菜内の硝酸イオンの値は下がると考えらえていましたが、実際にはそうでもないようです。化学肥料をまったく使用しない有機栽培においても、栽培方法によっては、硝酸イオンが多くなってしまうことがあり、結果として栄養価が低くなることもあるようです。また逆に、硝酸イオンをぐっと低く抑える栽培技術をもっている生産農家さんでは、糖度・ビタミンC・抗酸化力をぐっと高めた野菜を安定的につくることもできるようになってきています。
硝酸イオンを抑えることができる栽培技術を知っているかいなか?また、知っていても、実際に栄養価を高めるという結果に結びつけることができているかどうか?そこがこのコンテストの勝敗を左右しているようです。
日本有機農業普及協会は、栄養価コンテストの開催を通じて、栄養価コンテストを通じて集められたデータを基に、栄養価の高い作物を、安定的につくるための土つくり技術・栽培技術の開発を行っています。また、その技術の普及を通じて「野菜を食べる方の心身の健康」を支えていくことが、これからの農業者の使命と考え、農業技術者の育成を行っています。
では、いよいよ栄養価コンテスト2019の結果発表です。今年は、33部門に部門別最優秀賞を、そして特に栄養価の成績が優秀と考えられる9点について優秀賞を贈ります。
この栄養価コンテストでは、硝酸イオンが少ないことも、重要な評価項目となっています。根の部分を収穫する人参は、土壌の深い部分に溜まった硝酸態窒素を水と一緒に吸収してしまうため、硝酸を低く抑えることができるかどうかということが、生産農家さんの腕の見せどころ。まぐれでは実現できない、確かな土づくりの技術力の高さを示す指標となります。
抗酸化力の1位は茨城県の石田農園さん19.4。千葉県の吉川貴章さん17.6で2位。青森県の南風農園さん17.3で3位。福島県の永島義信さん17.0で4位。高知県の岩上隼人さんが16.9位で5位。愛媛県の長井郁夫さん15.1で6位でした。抗酸化力が15を越えたのはこの6点でした。
糖度の1位は愛媛県のいけちゃん農園の11.9。2位と3位は徳島県の有近幸恵さんの京くれないと千浜にんじんで、どちらも11.0。4位は10.8が2名、愛媛県の大谷武久さんの京くれない、兵庫県の炭育ち池上農園池上義貴さんのイエローハーモニー。しかしながらこの3名は抗酸化力が2桁にいたらず、今回はノミネートされませんでした。6位が高知県の岩上隼人で10.3。この6点が糖度2桁の大台に乗りました。
ビタミンCは大阪府の掘田直子さんの金時で20.9でした。
今年、人参部門の最優秀賞は、高知県の岩上隼人さん。抗酸化力・糖度が高く、硝酸イオンが低い、全体のバランスがよく。チャートの三角が一番美しい形でした。味については「しっとりとしたやわらかい食感で、人参独特の青味はなくて食べやすく、ニンジンらしい優しい甘味と旨味があって非常に美味しい」との評価でした。1985年にタキイから発売された向陽2号は、今となってはごくごく一般品種となった人参。味や糖度にこだわった品種がいろいろあるなかで、向陽2号で、この栄養価という点も注目です。土づくりの技術力の高さの現われと思われます。
糖度1位の愛媛県のいけちゃん農園池田一夫さんの京くれないに優秀賞を送りたいと思います。糖度は、その糖分を生産する作物の生命力の源である光合成能力の高さをものがたっています。味については「カリカリとした歯切れの良い食感で、クセが無くて食べやすく、ニンジンらしい旨味があり、果汁に甘味があって非常に美味しい」という評価でした。
冬の人参と夏の人参を同じ土俵で戦わすワケにはいきません。夏人参部門は4点の参加があり、うちノミネート1点。
夏人参部門の最優秀賞は北海道の一戸義則さんのベーター312。抗酸化力が飛びぬけて高く、硝酸イオンがぐっと低い。味は「コリコリとした歯切れの良い食感で、甘味と旨味を感じ、ニンジンらしい青味も感じて味が濃く、さっぱりとした後味で非常に美味しい」とのことでした。
大根部門は20点の参加。うちノミネートは4点。大根も人参と同様に、硝酸イオンを低く抑えるのが非常に難しい作物です。
抗酸化力の1位は40.5で、群馬県の農業法人合同組合吉岡の里さんの冬美人。ビタミンCの1位も21.8で、群馬県の農業法人合同組合吉岡の里さんの冬美人。糖度の1位は、増田ベジタブルファームさんの味ちびこん大根、愛媛県の大谷武久の耐病総太り、徳島県の北野政美の初ほまれの3名が共に5.8。
大根部門の最優秀賞は、京都府の上村慎二さん。決め手は硝酸イオンの低さと、抗酸化力と糖度の高さのバランスです。京都府の上村慎二さんは、2017年にも大根部門で最優秀賞を受賞されています。3年ぶりの最優秀賞です。土づくりの技術力の高さ、確かさ、安定感を感じます。
イチゴ部門には24点が参加、ノミネートは8点。
抗酸化力の1位は、299で三重県の倉野佳典さんのかおりの。2位は、290で、昨年2018年のイチゴ部門の最優秀賞の受賞者の広島県の西日本高速道路エンジニアリングさんのおいCベリー、3位も、283で西日本高速道路エンジニアリングさんのおいCベリー。4位は、267で徳島県の木下芳臣さんのさちのか。5位は248で、静岡県のするが夢苺(株)さんの章姫。6位は242で、山口県の林洋輔のさちのか、三重県の竹村仁志さんの章姫。
糖度の1位は、福島県の星正邦さんの紅ほっぺ14.4。2位は三重県の倉野佳典さんのかおりの13.0。3位は茨城県の菅谷利男さんのとちおとめ11.4。4位は静岡県の望月保秀の紅ほっぺ11.3。5位は広島県の西日本高速道路エンジニアリングさんのおいCベリーで11.2。6位は山口県の林洋輔のさちのか11.0。
今年のイチゴ部門最優秀賞は三重県の倉野佳典さん。抗酸化力は1位。糖度は2位。硝酸イオンがやや多めですが、倉野佳典さんは2013年に就農したばかりの、まだ5年目のいわばルーキー。そのルーキーがこの成績とは驚きです。しかも、ここは技術力が必要なイチゴ部門。これはまさに快挙!
夏ミニトマト部門には11点が参加。うち3点がノミネートしました。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは3点のみ、山口県の細田実さんのロッソナポリタン。三重県のてんてん農園の竹本博哉さんのなつめっこ。岐阜県の中家重彦さんのエコスィートでした。
夏ミニトマト部門の最優秀賞は、山口県の細田実さんのロッソナポリタン。糖度は平均値の1.6倍の12.0、抗酸化力は平均値の2.1倍。ビタミンは平均値の1.6倍。硝酸イオンはゼロ。味の評価は「一口目に爽やかな酸味を感じるが、噛む程に濃厚な甘味と旨味が感じられ、皮には張りがあり、程よい歯応えで非常に美味しい」とのことでした。細田実さんは、元料理人。平蕨台共同生産組合出身。2017年にIターン就農したばかりの2年目。2年目でこの成績とは恐るべし。今後の活躍に期待できそうです。
夏中玉トマト部門。参加は6点。ノミネートは4点。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは4点のみ。熊本県の井手謙一さんのカンパリ。熊本県の河原孝治さんのフルティカ。北海道の岡崎哲三さんのシンディスイート。北海道のイナゾーファームのシンディスイートでした。
夏大玉トマト部門の参加者は7点。ノミネートは3点。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは5点のみ。徳島県の坂東明文さんの桃太郎。群馬県の農業法人合同会社吉岡の里さんの秀福。岐阜県の中家重彦さんの麗夏2点。大阪府の大矢農産さんのなごみ。
夏大玉トマト部門の最優秀賞は、徳島県の坂東明文さんの桃太郎。糖度は平均値の1.3倍。抗酸化力は平均値の1.9倍。ビタミンは平均値の1.9倍。硝酸イオンはゼロ。味の評価は「トマトの爽やかな香りがあり、瑞々しく甘味と酸味の甘酸っぱい風味がとてもバランス良く、後味はさっぱりしていて食べやすく、非常に美味しい」とのことでした。
秋冬大玉トマト部門の最優秀賞は、14点参加。うちノミネートは6点。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは4点のみ。福井県の神栄アグリテック株式会社さんのリンカ409。福島県の鈴木康正さんのリンカ409。岐阜県の中家重彦さんの麗夏。三重県の伊藤嘉洋さんのTYアルバ。抗酸化力の1位は福島県の板橋総一郎さんのサンロードで42.2。糖度の1位は福井県の神栄アグリテック株式会社さんのリンカ409で9.1でした。
秋冬大玉トマト部門の最優秀賞は、福井県の神栄アグリテック株式会社さんのリンカ40でした。糖度は平均値の1.8倍。抗酸化力は平均値の1.9倍。ビタミンCは平均値の1.1倍。硝酸イオンはゼロ。味の評価は「果物のような甘い香りと、強い甘味が感じられ、酸味は控えめでコクがあり、濃厚な味わいで非常においしい」ということでした。
秋冬中玉トマト部門の最優秀賞は、6点参加。うちノミネートは3点。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは2点のみ。沖縄県の林真弘さんのフルティカ。茨城県の方波見洋一さんの華小町。
秋冬中玉トマト部門の最優秀賞は、沖縄県の林真弘さんのフルティカでした。糖度は平均値の1.1倍。抗酸化力は平均値の1.8倍。ビタミンCは平均値の1.4倍。硝酸イオンはゼロ。味の評価は「甘味と酸味のバランスが良く、濃厚なコクがあるがサッパリとしていて食べやすく、後味にはトマトの旨味が広がって非常に美味しい」ということでした。沖縄県の林真弘さんは、昨年に続き、秋冬中玉トマト部門2連覇です。昨年の林真弘さんの成績は、糖度:7.8。抵酸化力:51.0。ビタミンC:26.3。なので、全部の項目で、昨年を上回る成績でした。
秋冬ミニトマト部門の参加は16点。ノミネートは6点。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは6点のみ。三重県の加藤秀樹さんの小鈴。福島県の小川未明さんの紅涙。三重県の橋本知幸さんのエコスイートミニ。岐阜県の中家重彦さんのロッソナポリタン・キャロルパッション・エコスイートのミックス。宮崎県の加藤保夫さんのクミコレッド。福島県の小川未明さんのイエローミミ。
秋冬ミニトマト部門の最優秀賞は三重県の加藤秀樹さんの小鈴。糖度は平均値の1.5倍。抗酸化力は平均値の1.6倍。ビタミンCは平均値の1.3倍。硝酸イオンはゼロ。
ホウレン草部門の参加者は27点。ノミネート12点。
抗酸化力の1位は、徳島県の川口浩さんの239。2位は長野県の田中英雄さんのペルセウスの216。3位は徳島県の浜田浩明さんのクロノスの211。4位は山梨県の田中千春さんの210。抗酸化力が200を超えたのはこの4点のみでした。
糖度の1位は京都府の上村慎一さんのオシリスの15.3。2位は徳島県の浜田浩明さんのクロノスの15.2。3位は山梨県の田中千春さんの15.0。糖度が15を超えたのはこの3点でした。
ビタミンCの1位は山梨県の田中千春さんの154。2位は徳島県の若葉農園さんの日本ホウレン草の138。3位は徳島県の浜田浩明さんのクロノスの123。4位は静岡県の欠掛隆太さんの日本ホウレン草の120.4。5位は京都府の上村慎一さんのオシリスの120.0。ビタミンcが120を越えたのはこの5点でした。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは15点。徳島県の川口浩さん。徳島県の浜田浩明さんのクロノス。徳島県の若葉農園さんの日本ホウレン草2点。徳島県の蓑手達矢さんの早生グローリー。徳島県の野畑富愛さんのクラウド。徳島県のNPO法人とくしま有機農業サポートセンターさんの早生グローリー。長野県の田中英雄さんのペルセウス。山梨県の田中千春さん。京都府の上村慎一さんのオシリス。熊本県の田中誠さん。奈良県の谷紀彦さんのクロノス。大阪府の岸田崇さんのオシリス。新潟県の関根孝志さんのミラージュ。静岡県の欠掛隆太さんの日本ホウレン草。最高のレベル5を受けたのは、27点の参加の55%にもなります。非常にハイレベルのコンテストとなりました。
糖度は平均値の1.6倍。抗酸化力は平均値の1.7倍。ビタミンCは2倍。硝酸イオンはゼロ。味の評価は「ストレートな甘味とほうれん草のまろやかな旨味が感じられ、濃厚な味わいで、繊維のしっかりとした食感で青味やクセはなく、非常に美味しい」ということでした。
抗酸化力の1位の徳島県の川口浩さんに優秀賞を送ります。味の評価は「葉は肉厚で食べ応えがあり、茎部に蜜のような甘味が感じられ、爽やかな青いホウレンソウの風味と、ほんのりとした旨味が感じられて非常に美味しい」ということでした。
抗酸化力が150を越えたのは4点。山梨県の田中千春さんのきよすみが198。徳島県のNPO法人とくしま有機農業サポートセンターさんのはっけい2点が173と172.7。茨城県の㈱カモスフィールドさんの冬里が159。糖度が2桁のものは3点のみ、山梨県の田中千春さんのきよすみが10.2。徳島県のNPO法人とくしま有機農業サポートセンターさんのはっけい2点が10.0でした。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは4点、山梨県の田中千春さんのきよすみ。徳島県のNPO法人とくしま有機農業サポートセンターさんのはっけい。茨城県の㈱カモスフィールドさんの冬里。岐阜県の雲英顕一さんのなかまちでした。
冬小松菜部門の最優秀賞は、山梨県の田中千春さん。ホウレン草部門に続き2つ目の受賞です。糖度10.2は平均値の1.7倍。抗酸化力198は平均値の2.5倍。ビタミンC119は平均値の2倍。硝酸イオンは平均値の7分の1でした。味の評価は「まったりとした濃厚な甘味と旨味があり、コマツナ独特のやや辛い風味も感じられ、葉は肉厚で繊維のしっかりとした食感で非常に美味しい」とのことでした。小松菜なのに「まったりとした濃厚な甘味」という表現がされている味とは、いったいどんな味だったのでしょうか?
糖度が31を越えたのは8名。熊本県の田中誠さん41.9。徳島県の若葉農園さんのこがねにしき36.3。群馬県の山口俊樹さんのさわぴかり34.7。兵庫県の高見康彦さんのコシヒカリ32.7。石川県の馬谷真弘さんのコシヒカリ32.0。兵庫県の前田遵詞さんのミルキークイーン31.8。岡山県の溝田浩美さんのあきたこまち31.3。兵庫県の宮垣富男さんのコシヒカリ31.2。
グラフにすると抗酸化力と糖度でそれぞれ飛びぬけている方がおられます。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは7点。熊本県の田中誠さん。徳島県の若葉農園さんのこがねにしき。群馬県の山口俊樹さんさわぴかり。橋谷田ファームさんのコシヒカリ。兵庫県の高見康彦さんのコシヒカリ。岡山県の入野潔さんのにこまる。新潟県の小岩孝徳さんのコシヒカリでした。
玄米部門の最優秀賞は2名にします。まず、抗酸化力1位の岡山県の入野潔さんのにこまる。抗酸化力は平均値の1.2倍。栄養価コンテストの抗酸化力の平均値が高すぎるため、今年は、平均値を越えた方は、入野潔さんただおひとりでした。
玄米部門の最優秀賞は2名にします。もうひとりは、糖度1位の熊本県の田中誠さん。田中誠さんは昨年も糖度1位でした。そして今年は平均値の1.5倍の41.9。糖度が40の大台を超えた快挙を称えたいと思います。
夏ジャガイモ部門で、食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは徳島県の坂東明文さんだけでした。平均値を超えたのは、徳島県の坂東明文さんと、北海道の一戸義則さんの2点の3点でした。
夏ジャガイモ部門の最優秀賞は、徳島県の坂東明文さん。糖度は平均値の1.15倍の6.0。抗酸化力は平均値の1.5倍の58.7。ビタミンCは平均値の1.5倍の41.9。硝酸イオンは平均値の8分の1。味の評価は「なめらかな食感で、ほのかな甘味があって食べやすく、旨味も感じられて非常に美味しい」というものでした。
夏タマネギ部門の参加は9点。食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは4点。北海道の川眞田潤さんのオホーツク222。北海道の森谷章三さんのオホーツク222。東京都の矢藤茂さんのソニック。北海道の(㈲ノザワ農場さんの北もみじ2000。
糖度が一番高かったのは、北海道の(㈲ノザワ農場さんの北もみじ2000で10.7でした。抗酸化力の1位は、北海道の川眞田潤さんのオホーツク222で15.4。ビタミンCの1位は、北海道の森谷章三さんのオホーツク222で13.9でした。
夏スイートコーン部門の参加は7点でした。ノミネートは5点。
食味5段階評価で最高のレベル5を受けたのは5点。兵庫県の仲野隆行さんのドルチェロード。島根県の農の学校BLOFAcademyおおなんさんの味来90とドルテェドリームの2点。東京都の矢藤茂さんのおおものの2点。
夏スイートコーンの最優秀賞は2点になりました。まず1点は、兵庫県の仲野隆行さんのドルチェロードです。糖度の18.2は平均値の1.1倍。抗酸化力の49.0は平均値の1.15倍。ビタミンCの15.1は平均値の2.1倍。味の評価は「ジューシーで皮に張りがあり、甘味が強く、コクのある風味が口の中に広がり非常に美味しい」とのことでした。
もう一点は、島根県の農の学校BLOFAcademyおおなんさんの味来90です。糖度は、兵庫県の仲野隆行さんのドルチェロードと同じ18.2。抗酸化力は50.1とほんの少し多く1位でした。
黒豆部門の参加は9点。ノミネート5点。
黒枝豆部門も最優秀賞が2点あります。1点は熟した黒豆です。兵庫県の株式会社丹波篠山たけし農産さんの黒枝豆です。味の評価は「ホクホク感もありながら、しっとりとした滑らかな食感で、濃厚な旨味があり、豆の風味が後味までしっかりと残って非常に美味しい」とのことでした。
もう一点は、若い黒枝豆です。兵庫県の宮垣農産の宮垣富男さんです。味の評価は「舌ざわりが滑らかな食感で、枝豆の良い風味と濃厚な旨味と甘味があり、非常においしい」とのことでした。
夏枝豆部門は4点の参加がありました。うちノミネートは1点です。
水菜は栄養価を高め、おしいくするのが非常に難しい野菜です。参加は4点。ノミネートは1点。
水菜部門の最優秀賞は茨城県の有限会社ユニオンファームさんです。糖度は平均値の2倍。抗酸化力は平均値の2.5倍。ビタミンCは平均値の2.3倍。硝酸イオンがゼロとは驚きです。味の評価は「やや水分が少なめで繊維がしっかりしており、甘味が強く味が濃厚に感じられ、ツンとした辛いミズナの風味も強く感じられ、非常に美味しい」とのことでした。
紫水菜部門への参加は3点。ノミネートは1点。
紫水菜部門の最優秀賞は兵庫県の炭育ち池上農園の池上義貴さんの紅法師です。紫水菜は糖度を高めるのがとても難しい作物ですが、糖度は平均値の1.3倍。抗酸化力は平均値の1.6倍。ビタミンCは平均値の1.5倍。硝酸イオンはゼロというとてもすばらしい成績でした。味の評価は「張りのあるしっかりとした食感で、コクのある甘みが強く、紫水菜の独特の風味がしっかりと残り、ミズナ独特の繊維残りは全くなく、非常に美味しい」ということでした。他の葉物野菜とミックスされても、色だけでなく、その味で存在感を表現することができる。これが本来あるべき紫系の野菜の姿と感じました。
昨年、驚異的なチンゲン菜を披露してくださった花ごころさん。今年も参加してくださっていましたが、硝酸イオンは低く抑えてこられたのですが、糖度が低くノミネートには到りませんでした。6点の参加がありましたが、糖度が平均値を超えることができたのは、たった1点のみ。これがチンゲン菜という野菜の難しさなのでしょう。
チンゲン菜部門の最優秀賞は茨城県の有限会社ユニオンファームさんのニイハオ114です。茨城県の有限会社ユニオンファームさんは毎年、栄養価コンテストに参加されており、毎年、少しずつ着実に栄養価を高めて来られていました。そして、今年、ついに1位の座に。味の評価は「噛むほどにチンゲンサイの旨味が感じられ、青い風味がしっかりとあり味が濃厚で美味しい」ということでした。
ブロッコリー部門の最優秀賞は徳島県の阿波農産の濱田浩明さんのピクセル。糖度は平均値の1.2倍。抗酸化力は平均値の2.8倍。ビタミンCは平均値の1.7倍。硝酸イオンはゼロ。濱田さんは栄養価コンテストが始まって以来の常連さん。開催地、小松島の農家さんです。硝酸イオンをきっちり低く抑える技術に定評があります。味の評価は「香りが良く、ブロッコリーらしい青味と旨味があって風味良く、甘味もしっかりと感じられて非常に美味しい」とのことでした。
キャベツ部門には10点が参加されました。ノミネートは4点。
どの方のキャベツも平均値の緑色を小さく中央に押し込んでいます。
キャベツ部門の最優秀賞は株式会社メンテックカンザイさんのやわらか。株式会社メンテックカンザイさんはビルメンテナンスが本業ですが、「青い地球を守る」をテーマに、農業、環境、健康の分野での新技術開発を行っているとのこと。糖度は平均値の2倍。抗酸化力は2.7倍。ビタミンCは3.5倍。硝酸イオンはゼロ。味の評価は「バリバリと張りのある食感で、噛む程に優しい甘味が感じられ、キャベツの風味はしっかりとあるが、青味は控え目で食べやすく非常に美味しい」とのことでした。
ケールは非常に人気のある野菜です。参加は10点。うち4点がノミネートされました。
どれも平均値の緑の四角を小さく中央へ押し込んでいます。
ケール部門の最優秀賞は長野県ののらくら農場の萩原紀行さんです。糖度は平均値の2.2倍。抗酸化力は平均値の2.8倍。ビタミンCは平均値の1.8倍です。味の評価は「水分が少なく、しっかりとした歯応えのある食感で、青臭さやえぐみ、苦味はほとんど無くて食べやすく、旨味が溢れて非常に美味しい」とのことでした。
萩原紀行さんにはもう一点。レッドケールで優秀賞を送りたいと思います。赤色は緑色より栄養価が高いのは分かりますが、500の大台を超えていくとは驚きです。抗酸化力は平均値の3.3倍。糖度は平均値の1.7倍。ビタミンCは平均値の1.5倍でした。
カブ部門。参加は7点。ノミネートは1点。
カブ部門の最優秀賞は、長野県のらくら農場の萩原紀行さんです。抗酸化力22.4は平均値の1.9倍。糖度6.8は平均値の1.3倍。ビタミンC20.7は平均値の1.3倍。硝酸イオンの値は2分の1でした。味の評価は「コリコリとしていて食感良く、クセの無い食べやすい風味で、濃厚な甘味が感じられ、非常に美味しい」とのことでした。
紫カブ部門。参加は2点。ノミネートは1点。
紫カブ部門の最優秀賞は千葉県のフォトシンセシスさんです。糖度7.9は平均値の1.27倍。抗酸化力35.1は平均値の1.9倍。ビタミンCの29.5は平均値の1.33倍。硝酸イオンはゼロ。味の評価については「緻密なしっかりとした食感で、辛味やえぐみは全くなく、ほんのりとカブの優しい甘味とカブの風味が感じられて非常に美味しい」とのことでした。
レンコン部門への参加は5点。ノミネートは1点。
レンコン部門の最優秀賞は徳島県の田村健一さんです。糖度9.3は平均値の1.14倍。抗酸化力225は平均値の1.19倍。ビタミンCの75.2は平均値の1.2倍。硝酸イオンはゼロ。味の評価について「シャキシャキと食感が良く、旨味が強く、甘味とレンコンらしい風味を感じて非常に美味しい」とのことでした。田村健一さんは2017年、2018年に続き、レンコン部門で3連覇です。
カボチャ部門への参加は4点。ノミネートは1点。
カボチャ部門の最優秀賞は北海道のソラナファーム株式会社さんのこふき。味の評価は「ほくほくとした栗のような食感で口解けも良く、優しいカボチャの風味と甘味を感じ、同時に濃厚な旨味もあって非常に美味しい」とのことでした。
パプリカ部門の参加は3点。ノミネートは1点。
パプリカ部門の最優秀賞は石川県の長屋弘智さんです。抗酸化力260は平均値の1.9倍。味の評価は「味が濃く、パプリカらしいさっぱりとした酸味も同時に感じ、後味にマイルドな甘味が感じられて美味しい」とのことでした。
もう一点。同じく石川県の長屋弘智さんのイエローパプリカです。抗酸化力は273は、平均値の1.6倍。糖度は平均値の1.3倍。ビタミンCは平均値の1.5倍。味の評価は「シャキシャキとした瑞々しい食感で、クセがなく、甘くてフルーティなさっぱりとした風味で非常に美味しい」とのことでした。
ピーマン部門の参加は3点。ノミネートは1点。
王者が君臨する柑橘部門。参加は9点。この栄養価コンテストがはじまって以来、一度もタイトルを逃したことが無いあの人は、今年もノミネートされています。王者の名前は愛媛県の大谷武久さん。
しかし、その王者を破るほどの方が現れました。和歌山県の岩本治さんのゆら早生ミカン。王者の赤線にほぼ同じ形をしてます。果たして、どちらがタイトルを取るのか?
柑橘部門は今年も、王者たる愛媛県の大谷武久さんに最優秀賞が送られます。「薄皮はやわらかく、果肉はプリプリとしていて食感良く、コクのある甘味が強く同時に適度な酸味があってくどさはなく、非常に美味しい」とのことでした。
ちなみ、にほんとうに僅差であった和歌山県の岩本治さんのゆら早生ミカンは、糖度:17.4。抗酸化力:68.1。ビタミンC:59.0。硝酸イオンはゼロでした。味の評価は「やわらかくジューシーな食感で、砂じょうのきめ細かい粒がプチプチとはじけ、濃厚な甘味と程よい酸味が感じられてバランスが良く非常に美味しい」とのことでした。来年こそは、王者を下していただきたいです。
リンゴ部門は2点の参加。ノミネートは1点。
リンゴ部門の最優秀賞は、福島県の斎藤政廣さん。味の評価は「シャリシャリとした瑞々しい食感で、甘味と酸味のバランスがよく、爽やかな甘酸っぱい風味が非常に美味しい」とのことでした。
ブドウ部門は参加3点。ノミネートは1点。
味の評価は「プリプリとしていて食感が非常に良く、ジューシーで濃厚な甘味と、酸味のバランスが良く、後味がスッキリとしていて非常に美味しい」とのことでした。黒色系・紫色系は抗酸化力が高くなる傾向にありますが、上記の平均値の値は黒色系のみ33検体の平均値。萩谷英之さんの抗酸化力124は、その3.29倍という驚異的な値です。
その品目において、参加が1点だけのものでも、特に優秀だったものについて、優秀賞を送ります。
茨城県の久松薫さんの夏大葉。抗酸化力の481は平均値の169の2.8倍。糖度は11.1は、平均値7.1の1.5倍。ビタミンCの80.8は、平均値59.3の1.3倍。味の評価については「香りが非常に良く、筋張っていないやわらかい食感で食べやすく、程よいツンとした辛味が感じられ、口の中に清涼感が広がり非常に美味しい」というものでした。
昨年の栄養価コンテストで注目を浴びた愛知県の花ごころさん。今年は夏チンゲン菜で優秀賞です。抵酸化力63.6は、平均値31.1の2倍。糖度5.1は平均値2.6の1.9倍。ビタミンCの7.1は平均値の2.1倍。硝酸イオンは平均値の4分の1。味の評価は「肉厚の食べ応えのある食感で、香り、味が濃く、旨味も感じられて美味しい」とのことでした。
新潟県の関根孝志さんの夏ルッコラ。抵酸化力の55.3は平均値の36.2の1.5倍。硝酸イオンは平均値の11分の1。味に評価は「香りが良く、クセのないさっぱりとした風味で、程よい辛味が感じられて美味しい」とのことでした。
徳島県の佐々木和仁さんの博多かつお菜。抵酸化力の98.9は平均値の1.2倍。糖度の9.1は、平均値5.7の1.5倍。ビタミンCの107は、平均値の59.4は1.8倍です。味の評価は「葉は肉厚で食べ応えがあり、ツンとくる辛味と濃厚な旨味、甘味が噛むほどに感じられて非常に美味しい」というものでした。
群馬県の農業法人合同会社吉岡の里のスイスチャート。抵酸化力の179は、平均値64の2.7倍。糖度14.2は平均値5.0の2.8倍。ビタミンCの62.5は平均値30.0の2倍。味の評価は「葉はしっかりとした食感で食べ応えがあり、茎の部分に甘味が凝縮されており、口の中に濃厚な旨味が残って非常に美味しい」というものでした。
群馬県の農業法人合同会社吉岡の里さんはもう一点、とうがらし。抵酸化力の178は、平均値6.7の6.7倍。糖度15.6は平均値5.3の2.9倍。ビタミンCの235は、平均値95.9の2.4倍。「雑味が無く、爽やかな辛味と程よい酸味が感じられ、さっぱりとした後味と強い香りがあり、おいしい。」ということでした。
島根県の藤原英生さんの甘長とうがらし。抵酸化力111は、平均値29.6の3.7倍。ビタミンCは140は、平均値の108の1.29倍。硝酸イオンはゼロでした。味の評価は「パリパリと張りのある食感で、辛味や苦味、えぐみはなく、まろやかな甘味が感じられて美味しい」ということでした。
33部門に部門別最優秀賞を、そして特に栄養価の成績が優秀と考えられる9点について、受賞者を発表しました。今年は、もっとも良い成績を治められた方にグランプリ賞を贈りたいと思います。
グランプリ賞は、長野県のらくら農場の萩原紀行さんです。見事なカブ。
そして、見事なグルーンケール。
さらに、見事なレッドケール。
栄養価コンテストを通じて得られたデータは、日本有機農業普及協会で評価と検証を行い、栄養価の高い農産物を安定的に生産するための技術の開発のために使われます。技術として確立し普及できるようになったものから、随時、日本有機農業普及協会を通じて農業者へフィードバックしていきます。そして、より多くの方が「人の美と健康を支えることができる野菜」づくりに取り組めるようになっていくお手伝いができたらと考えています。