内訳は、徳島県68、兵庫県56、千葉県24、愛媛県・茨城県21、三重県20、長野県18、和歌山県11、鹿児島県・大阪府10、埼玉県・山梨県9、京都府・神奈川県8、静岡県・高知県・島根県・熊本県・鳥取県7、福岡県5、岐阜県・愛知県・福井県・滋賀県4、東京都・山形県・宮崎県3、新潟県・佐賀県・香川県・福島県・広島県・岡山県・群馬県・宮城県2、北海道・岩手県・奈良県・長崎県・富山県1です。
コンテストの募集期間は前回2016年の栄養価コンテスト募集締切から2017年1月31日までの約1年間。夏、秋、冬と3回、栄養価コンテスト参加者募集キャンペーンを行いました。
コンテストの募集期間は前回2016年の栄養価コンテスト募集締切から2017年1月31日までの約1年間。夏、秋、冬と3回、栄養価コンテスト参加者募集キャンペーンを行いました。
傾向として、硝酸イオンが多い野菜は、糖度もビタミンCも抗酸化力も低くなる傾向があるようです。
窒素は植物にとっては細胞をつくるために必要不可欠な栄養成分。
硝酸は、その窒素の中でも、酸化された窒素で、化学肥料の成分。
野菜栽培に化学肥料を使わなければ、野菜内の硝酸イオンの値は下がると考えらえていましたが、実際にはそうでもないようです。化学肥料をまったく使用しない有機栽培においても、栽培方法によっては、硝酸イオンが多くなってしまうことがあり、結果として栄養価が低くなることもあるようです。また逆に、硝酸イオンをぐっと低く抑える栽培技術をもっている生産農家さんでは、糖度・ビタミンC・抗酸化力をぐっと高めた野菜を安定的につくることもできるようになってきています。
硝酸イオンを抑えることができる栽培技術を知っているかいなか?また、知っていても、実際に栄養価を高めるという結果に結びつけることができているかどうか?
そこがこのコンテストの勝敗を左右しているようです。
作物別に30部門に分け、その中で優秀であった方をノミネート者とし発表し、さらにその中から最優秀賞をおひとりの方に、また1点だけの参加しかなく部門が構成できずコンテストにならなかったが、特に優秀であったもの8点を優秀賞としました。ブロッコリー・ネギ等で参加者のほとんどが平均値を超えることができなかった部門においては、ノミネート者無しと判断させていただきました。
糖度が一番高かったのは愛媛県のオーガニックワークスの吉山毅さんで10.3。今回のコンテスト参加の人参で糖度10度を超えたのは吉山さんひとりだけでした。抗酸化力が一番高かったのは愛媛県のほのぼの農園の萩山浩康さんで15.4。抗酸化力2位の大谷さんの11.3をはるかに超えています。ビタミンCが一番高かったのは、徳島県の若葉農園の横田光弘さんで11.2。千葉県の本多まり江さんの人参の写真を見ると三角形です。人参は上の方から太るので、三角形というのは、やや収穫が早かったことを示しています。本多さんの糖度は9.4と3位。ビタミンCは10.7と2位でした。来年に期待が持てそうです。
抗酸化力が10以上だった方は、愛媛県のほのぼの農園の萩山浩康さん、愛媛県の大谷武久さん、徳島県の若葉農園横田光弘さんの3名だけでした。
食味が5の評価たっだのは、愛媛県の大谷武久さん、愛媛県のオーガニックワークス吉山毅さん、千葉県の本多まり江さん、埼玉県のたまねぎ舎の学研「野菜だより」編集スタッフ(牧らつと)さんの4名しかいませんでした。
人参部門の最優秀賞は、愛媛県の大谷武久さん。全体のバランスと味の評価が決め手となりました。大変困難な審査となりました。
硝酸イオンがゼロであった方が5名。徳島県の瀧山誠二さん。兵庫県の炭育ち池上農園の池上義貴さん。福岡県の高倉雅昭さん。愛媛県のVegeフルやの古谷栄樹さん。和歌山県の吉岡義雄さん。硝酸イオンをゼロにするには、土づくりの技術、栽培期間中の管理技術の両方が優れていなければなりません。
ホウレン草部門の最優秀賞は徳島県の横田光弘さん。
岡山県のes株式会社の藤田仁志さんは糖度35.0と、糖度2位の福島県の佐原裕司さんの31.8をはるかに超えて、ずば抜けていました。栽培方法にはバクチャーとありました。微生物資材を活用したものと考えられます。当コンテストの主催者であります日本有機農業普及協会はミネラル栽培技術を持っています。今後、優秀な微生物資材の技術との融合で、さらなる栄養価UPが可能なのではないかと思います。
玄米部門の最優秀賞は福島県の佐原裕司さん。
茨城県の有機栽培あゆみの会のアクト農場さんは糖度9.8で1位。ビタミンCも88.1で1位。抗酸化力は2位の132.9でしたが、硝酸が1333.2とやや高めでした。
小松菜部門の最優秀賞は兵庫県の長山勇太さん。抗酸化力1位、硝酸はゼロ。
大根は栄養価を高める栽培が非常に難しい作物です。多くの方に参加していただきましたが、ノミネートは4名。
徳島県の米崎広行さんが、もし硝酸イオンを減らすことができたらなば、1位だったでしょう。来年に期待します。
大根部門の最優秀賞は京都府のかみむら農園の上村慎二さん。
検査を担当しました東京デリカフーズの武井安由知さんも、大根は硝酸が高くなってしまいがちな難しい作物。その大根でこの硝酸の少なさ、この糖度の高さはすばらしいとのことでした。上村慎二さんの大根は糖度は5.3で1位、抗酸化力は42.3で2位、ビタミンCは20.0で2位、硝酸イオンは29.8という低さで1位。抗酸化力の1位は43.7の兵庫県の山田恭平さん。ビタミンCの1位は22.3で徳島県の米崎広行さん。
この春菊も硝酸を減らすのが難しい作物です。
食味の評価が5だったのは、長野県ののらくろ農場の萩原紀行と兵庫県の炭育ち池上農園の池上義貴さんの2名。糖度の1位は8.3で兵庫県の炭育ち池上農園の池上義貴さん。糖度の2位は7.2で茨城県のユニオンファームの海野興さん。
春菊部門の最優秀賞は長野県の株式会社BLOFERSさんです。糖度は長野県ののらくろ農場の萩原紀行と同じ6.9で3位。硝酸の低さ1位、ビタミンCと抗酸化力も1位でした。
白菜で食味の評価が5だったのは2名。どちらも兵庫県丹波の生産者。小松菜部門ですでに最優秀賞を獲得した長山勇太さんと濱野邦興さん。濱野邦興さんも2009年に丹波に移住し農業を始めたとお聞きしていますから、まだ7年くらい。丹波は新人の成長が目まぐるしい地域であるといえるでしょう。
白菜部門の最優秀賞は兵庫県の長山勇太さん。小松菜部門に引き続き2冠目です。
糖度1位は徳島県の坂東文明さんで10.4。抗酸化力の1位は長野県の黒岩洋一さんで41.2。
カブ部門で食味評価5を頂いたのは3名。福島県会津若松の永島信義さん、長野県ののらくろ農園の萩原紀行さん、愛媛県のVegeフルや古谷栄樹さん。糖度1位は6.6で愛媛県のVegeフルや古谷栄樹さん。抗酸化力の1位は30.0で島根県のおおなんさん。ビタミンCの1位も18.8で島根県のおおなんさんでした。
カブ部門の最優秀賞は愛媛県のVegeフルや古谷栄樹さん。硝酸ゼロはすばらしい。糖度1位、抗酸化力とビタミンCは、島根県のおおなんさんに次いで2位でした。数字からの想像で恐縮ですが、おそらく筋っぽくなく、包丁に引っ付いてくるようななめっこい感じの食感と思います。ぜひ食べてみたいです。
カリフラワー部門で食味5の評価だったのは、どちらも徳島県の方、野本農園の野本勝一さんと海陽町の歌泰一さん。
カリフラワー部門の最優秀賞は徳島県の野本農園の野本勝一さん。
水菜については最優秀賞ではなく優秀賞のみとします。今年はIT系農業が受賞となりました。京都府の株式会社日本情報化農業研究所さんです。すべての項目において平均をはるかに上回っています。
水菜部門の優秀賞はもうひと方、栄養価の高い赤水菜で参加された兵庫県炭育ち池上農園の池上義貴さん。平均値は一般流通品の赤水菜4点の値とのことですが、一般流通品にしてはレベルが高すぎると思われます。そのちょっと高すぎるレベルの平均値を、池上さんはすべての項目において大きく上回っています。
和歌山県の吉岡農園の吉岡義雄さんの値もなかなかです。
最優秀賞は和歌山県の橋本自然農苑の橋本進さん。肥料を使わない自然農法ですが、硝酸をゼロにするには、かなりすぐれた栽培管理技術が必要です。
イチゴは毎年、激戦です。イチゴ部門で食味5の評価であったのは4名の方。徳島県の木下芳臣さん、徳島県の矢野光美さん、愛媛県の宇都宮悟さん、茨城県の有機栽培あゆみの会の菅谷利男さん。糖度1位は13.8で茨城県の有機栽培あゆみの会の菅谷利男さん。
イチゴ部門の最優秀賞は徳島県に木下芳臣さん。硝酸の低さは1位、糖度は5位ですが、抗酸化力1位、ビタミンCは2位でした。糖度は品種によって異なるため、総合評価で木下さんの受賞となりました。毎年、参加されて、年々良くなってきていましたが、ついに受賞となりました。これからは追う立場から追われる立場になることでしょう。
1年じゅうつくれてしまうトマト。夏と秋と冬では、栄養価が異なります。また品種によっては、栄養価が高くなりやすいものもあります。そのようなことを考慮して、非常に難しい審査となりました。トマトは水を切ると糖度は上がります。濃度が濃くなるからです。しかし、水を切ると水を原料としている光合成能力が低下し、栄養価はあがりません。「トマトが赤くなると医者が青くなる」といわれるほどに栄養価の高く。トマトを食べていれば病気にならないといわれるほどの野菜です。糖度も重要ですが、ここは栄養価コンテストです。抗酸化力も重要です。
ミニトマト部門の最優秀賞は長野県の坂巻秀高さん。糖度6位、ビタミンCは5位ですが、抗酸化力は1位。審査責任者小祝氏いわくチャートが一番美くしい坂巻さんを今年の最優秀賞にします。ちなみに栄養価コンテストで毎年賞を獲っている徳島県の阿波農産の濱田浩明さんが、この部門に挑戦されていましたが、糖度も抗酸化力もビタミンCもすべて2位でした。これはこれで安定感があるということで、ここに記しておきます。
食味評価が5だった方は6名。大阪府の原田ふぁ~むさん、徳島県のアグリベストさん、徳島県の成谷進さん、熊本県の澤村輝彦さん、三重県の伊藤嘉洋さん、三重県の橋本知幸さん。
大玉トマト部門の最優秀賞は熊本県の澤村輝彦さん。糖度1位、抗酸化力6位、ビタミンCは5位、決め手はチャートの美しさです。緑色の平均値を小さく押し潰しています。抗酸化力が低くなりがちな冬のハウス栽培トマトでありながら、抗酸化力が2倍とはすごいことです。
日本有機農業普及協会(JOFA)のバリバリのBLOF農家が2人とも敗れました。
中玉トマト部門の最優秀賞は茨城県の茨城BM自然塾の片波見洋一さん。平均値を小さく抑え込む、そのチャートの美しさ、お見事です。
丹波の黒豆大会となりました。
黒豆部門で最優秀賞となったのは兵庫県の村上ファームの村上彰さんです。2016年に続き、連続受賞です。
どちらの方も、緑の平均値を小さく押しつぶしています。
サツマイモ部門の最優秀賞は静岡県の大竹美津子さんでした。食味評価最高ランクの5をとられたのも、大竹さんだけでした。
海陽町元気農業研究会の佐藤文男さんと島村洙子さん、徳島県の米崎広行さんの3名が食味評価において最高ランクの5となりました。
里芋部門の最優秀賞は徳島県の米崎広行さんです。
有色ジャガイモ同士の一騎打ちです。
蓮根部門の最優秀賞は徳島県の田村健一さん。早生品種のロータスで、この糖度と抗酸化力はお見事です。
食味評価で5の方は2名。鹿児島県の池田農園の池田吉光さんと福岡県の高倉雅昭さん。
生姜部門の最優秀賞は鹿児島県の池田農園の池田吉光さん。糖度6.4で硝酸ゼロはすごい。
タマネギ部門の最優秀賞は兵庫県淡路島の仲野隆行さん。食味評価5も仲野さんだだひとりでした。
にんにく部門の最優秀賞は宮崎県の農業生産法人健康家族さんです。
ピーマン部門は一騎打ちとなりました。
ピーマン部門の最優秀賞は三重県の堀田健一さん。
ナス部門は多くの片が参加されましたが、ひとりだけ飛びぬけていました。最優秀賞は三重県の増田裕子さん。
柑橘部門は品種も収穫時期も異なるので、審査はとても困難でした。食味評価で5であったのは、広島県の菅秀和さんのレモン、和歌山県のマルヨ農園の岩本治さんの温州ミカン(ゆら早生)、熊本県のくまもと有機の会の中嶋祐一さんのネーブル、鹿児島県の徳田安悦さんのイシカッタ、三重県の大西誠さんの温州ミカン(おきつ)、愛媛県の大谷武久さんの甘平とおきつ、愛媛県の丹下隆一さんの温州ミカン(石地)の8点でした。
柑橘部門は、今年も愛媛のこの二人の一騎打ちとなりました。抗酸化力103.2をとるか、糖度17.0をとるか、さんざん悩んだあげく、引き分けとなりました。
柑橘部門の最優秀賞はなく、二人の方に優秀賞をおくります。愛媛県の大谷武久さんと愛媛県の丹下隆一さん。柑橘はまだまだ、栄養価を高める余地があり、おいしさも高めることができる可能性のある作物であると思います。
リンゴ部門の最優秀賞は青森県の片山寿伸さん。
ブドウ部門の最優秀賞は長野県の保科悟さん。
スイートコーン部門は島根県の農の学校BLOFAcademyおおなんさん。
中家さんは昨年に続き、連続受賞です。自分の昨年の記録をさらに上回っています。農産物の栄養価は干したり、漬物にしたりすることで、さらに高まります。今後は農産物加工品の参加も呼び掛けていきたいところです。
これはコンテスト審査外の農産物ですが、抗酸化力の値が6万となりました。エッグフルーツは一般流通品との比較が困難なため、値だけを表示します。沖縄では「カニステル」という名でよばれていると耳にしました。それほどおいしいものではないので、蟹も食べない、よって蟹も捨てるからカニステルというとか、お金にならない作物だから「カネ捨てる」だとかいわれていますが、蟹は脱皮をする生きもので、古来より若返りや不老不死の象徴。カニステルはこのたぐい希なる抗酸化力の高さから名付けられた名前なのではないかと、ふと思いました。熟すとオレンジ色になりカボチャと柿の間のような味になるそうですが、食べごろが分かりにくいのが欠点ということです。果物というより漢方薬のようなものと考えた方がよいのでしょうか。
さて、2017年の栄誉ある栄養価コンテストのグランプリは?
残念ながら、グランプリはありません。飛びぬけたもの、特筆すべきものがなかったことから、本年度のグランプリは無しとします。賞金は来年にキャリーオーバーするかもしれません。